12月8日「マンション管理組合、マンション住民のための特別セミナー」レポート2019/12/19

 12月8日に関西分譲住宅仕上業協同組合(KSK)と(一社)マンション適正管理サポートセンター(MTS)の共催で「マンション管理組合、マンション住民のための特別セミナー」開催しました。後援は、国土交通省近畿地方整備局、大阪府、兵庫県、奈良県、公益社団法人マンション管理センター、独立行政法人住宅金融支援機構 近畿支店となりました。昨年に引き続き、マンションの適正管理をめざし「プロポーザル方式の大規模修繕工事はあなたの財産を守ります!」とテーマを上げ、マンション管理組合の主体的な運営を問う内容になっています。



  • セミナー会場風景


  • MTS 草刈保廣理事長



 当日は、10時からは無料相談会を実施。今回も当日の飛び入り参加を含め10組を超える管理組合の方が来場され、大規模修繕の専門家やマンション管理士が対応させていただきました。
 13時からのセミナーは、草刈保廣会長がKSKからMTSの設立に至った経緯を報告する挨拶から始まり、第一部の講演1として、国交省近畿地方整備局建政部住宅整備課長の徳竹忠義氏より『マンション政策の最近の動向について』と題し、マンションをとりまく社会情勢から、住生活基本計画におけるマンション政策の成果についての説明、次に「マンション管理適正化法」「マンション標準管理規約」を踏まえマンション管理・修繕の取り組みを紹介、またマンションの建替えについての最新の政策を紹介いただきました。特にマンション大規模修繕工事については、昨今の利益相反的な活動をする設計コンサルタントの存在を認識したうえで、「大規模修繕工事および大規模修繕工事の設計コンサルタント業務についての実態調査」の資料や(公財)マンション管理センターに設置した相談窓口を、適正な工事発注に役立ててほしいと強調されました。



  • 近畿地方整備局 徳竹忠義氏


  • KSK 小野利行技術部部長



 講演2は、MTS事務局長の小野利行が『管理組合が主体となった大規模修繕工事 プロポーザル+総合評価方式で不正と無駄を排除する!!"あなたの財産"を守ります!』と題して進めさせていただきました。
 大規模修繕工事の成功のためには、日々日常から共同参加意識を大切にすべきとして、管理組合のコミュニティとしての機能の熟成が重要であると論じ、それによって、不要不急な工事も管理組合が主体性をもって合意形成ができるもという考えを述べました。
 また、大規模修繕工事の施工方法について、工事の考え方の歴史的経緯から「プロポーザル+総合評価方式」を採用となる必然性を説明しました。とにかく大規模修繕をしなければということで採用された「設計監理方式」「責任施工方式」。これからは、修繕積立金を食いつぶさないためにも不要不急の工事を管理組合が判断しやすい「プロポーザル+総合評価方式」が注目されるとしています。工事についての知識のないマンション管理組合対しては、マンション管理士らが中心となった「サポーター」が支援する準備がMTSいはあるとしています。「サポーター」が恣意的に特定の業者へ発注するように誘導できないような仕組みも「プロポーザル+総合評価方式」に採用し、公正性、透明性を担保した適正な工事発注ができることを説明しました。



  • 戎正晴 弁護士


  • パネルディスカッション



 第2部のパネルディスカッションでは、戎正晴弁護士(MTS副会長)がコーディネーターを務め、廣兼克典氏(住宅金融支援機構近畿支店推進役)、長田康夫氏(マンション管理センター大阪支部長)、野村善彦氏(奈良県マンション管理組合連合会専務理事)、小野利行(MTS事務局長)がパネラーで参加しました。
長田氏からは「国交省のガイドラインにある大規模修繕工事の周期が12年というのは建物的な根拠ではなく、塗料や防水材の保証期間によるものになってしまっている」、「建物の劣化診断の内容について、マンション管理組合の役員のほとんどが見ていない」という現状を報告し、野村氏も「報告書は情報の宝庫であるが、ほぼ利用してされていない」としてマンション管理組合の問題点が浮き彫りになりました。小野からは「劣化診断はプロがしっかり行うべきだが、材料メーカーや実際施工を担当する施工会社に丸投げされている」「ガイドラインがベースとなっている管理会社が作成した長期修繕計画もプロと管理組合が一緒に見直す必要性がある」という施工のプロの視点から指摘がされました。廣兼氏からは「積立金の範囲内でしか工事をしていない」「長期修繕計画が物価上昇についていけないため、大方のマンションで妥協した工事になってしまっているのでは」と金融機関からの心配の声も上がり「工事内容と金額の妥当性を判断したうえでの融資」についても検討の余地が今後においてはあるとの話が出てきました。
 戎弁護士からは「管理組合・区分所有者が大規模修繕工事の適正発注・管理について意識を高める必要性はある」としてプロポーザル+総合評価方式のような主体性をもった大規模修繕工事の取り組み方は、啓蒙活動としても非常に重要ではないかとし、パネルディスカッションを終え、最後にKSK副理事長の別所宏昭からの閉幕の挨拶させていだきました。



  • KSK 別所宏昭副理事長


  • セミナー会場風景



 当日はマンション管理組合、施工業者、管理会社、国会議員・地方議員の方、180名を超えるご参加をいただき、盛況のうち閉会を迎えることができました。今後においてもMTS、KSKともにマンション管理組合に有用な情報発信をしていきたいと考えています。


講演1資料『マンション政策の最近の動向について』【PDF】
講演2資料『プロポーザル+総合評価方式で不正と無駄を排除する!!』【PDF】