コラム

公取委が大規模修繕の談合に排除措置命令へ~氷山の一角に過ぎない実態と、管理組合に求められる「自衛」~

修繕積立金が食い物に。ついに公取委のメスが入る

2025年3月4日の公正取引委員会の立入検査から話題になったマンションの大規模修繕工事を巡り、公正取引委員会が独占禁止法違反(不当な取引制限)の疑いで、設計監理会社2社と修繕工事会社約40社に対して排除措置命令(および高額な課徴金納付命令)を出す方針を固めたとの報道がありました。

関東のマンション大規模修繕で40社談合、工事費つり上げで住民負担増の可能性…公取委が16億円の課徴金方針(読売新聞 2026年6月12日)

https://www.yomiuri.co.jp/national/20260611-GYT1T00385/

報道によれば、設計監理会社が主導して修繕工事会社間で談合を繰り返し、工事費を相場より約40%も不当につり上げていたとされています。つり上げられた利益の一部は、バックマージン(リベート)として設計監理会社に還流していました。住民の皆様がコツコツと貯めた大切な「修繕積立金」が食い物にされていた、極めて悪質な事例です。

関東での摘発は「氷山の一角」。全国の管理組合は引き続き警戒を

今回の摘発対象は主に関東地方の案件ですが、これを「自分たちには関係のない対岸の火事」と捉えるのは大変危険です。
国土交通省が2017年に「不適切コンサルタント問題」として異例の通知を出して以降も、こうした談合体質や癒着の構造は、全国のマンション修繕業界に根強く残っています。「設計」と「施工」を分けることで公正さを担保するはずの『設計監理方式』を逆手に取り、コンサルタント(設計監理会社)が特定の施工業者を勝たせるようコントロールする手口は、依然として後を絶ちません。
今回明るみに出たのは、まさに「氷山の一角」に過ぎず、全国の管理組合においては、引き続き厳しい目線での監視と談合への警戒が不可欠です。

管理会社への「メス」は入っていないという現実

そして、今回の報道を受けて私たちが危惧すべき点は、「管理会社へのメスは一切入っていない」という事実です。
多くの場合、大規模修繕に向けた最初の道筋(コンサルタントの選定や業者のリストアップ)をつけるのは、日常の管理業務を担う管理会社です。問題となった設計監理会社を管理組合に推薦・紹介した背後には、管理会社の存在や何らかの推奨があったケースが少なくないと考えられます。
しかし、独占禁止法の枠組みの中では、直接入札に参加していない管理会社まで責任を問うことは難しく、実態として「お咎めなし」となっています。管理会社が提案する修繕計画や業者の選定プロセスが、必ずしも管理組合の利益(コストの適正化)と一致しているとは限らないというリスクが、改めて浮き彫りになりました。

管理会社任せにしない。管理組合に求められる「自衛」とは

管理会社や不適切コンサルタント、一部の不良施工業者による「癒着の構図」からマンションの資産を守るためには、管理組合(理事会および区分所有者)の皆様自身による「自衛」の意識が何よりも重要です。

・コンサルタント選びを管理会社に丸投げしない

管理会社から推薦されたコンサルタント会社をそのまま承認するのではなく、管理組合自らが公募を行ったり、複数社から比較検討するプロセスを挟むことが重要です。

・不自然な入札条件に注意する

「特定の業者しか参加できないような厳しい参加条件(資本金や実績など)になっていないか」「見積もりの内訳がブラックボックス化していないか」をチェックする必要があります。

・「セカンドオピニオン」を活用する

提案された計画や見積もりが適正かどうか、利害関係のない第三者の専門家(マンション管理士や建築士など)にチェックを依頼することも有効な防衛策です。

最後に

大規模修繕工事は、皆様のマンションの寿命と資産価値を左右する、数千万から数億円単位の一大事業です。
今回の公取委の動きを機に、「現在進んでいる修繕計画のプロセスは本当に透明か」「管理会社のお膳立て通りに進んでいないか」、改めて見直してみてください。br 当マンション適正管理サポートセンターでは、公正な修繕工事の進め方や、適正なコンサルタント・施工業者の見極め方に関するご相談を随時受け付けております。「見積もりが高すぎる気がする」「この進め方で大丈夫か」など、少しでも不安を感じたら、手遅れになる前にぜひ当センターへお気軽にご相談ください。

排除措置命令と課徴金納付命令について
https://www.jftc.go.jp/ippan/part3/action_04.html

公正取引委員会が排除措置命令を出す見通しの会社一覧
https://topics.smt.docomo.ne.jp/article/mainichi/nation/mainichi-20260611k0000m040338000c

本件に関する詳細やご相談は、当センターのウェブサイト(https://www.mansion-support.jp
またはお電話(06-6630-0153)にて承っております。

一般社団法人マンション適正管理サポートセンター
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