「サポーター」の指南書
「プロポーザル+総合評価落札方式」が必要とされる背景

「プロポーザル+総合評価落札方式」が必要とされる背景

「改修によるマンションの再生手法に関するマニュアル」令和3年9月に「プロポーザル(総合評価型)」として新たな施工方法が記述され大規模修繕工事の公平性・透明性を確保さる方策が示されました。

「今後のマンション政策あり方に関する取りまとめ」には課題として、
〇大規模修繕工事の発注に不慣れな管理組合をサポートする取組みが必要
〇適切な設計コンサルタントを管理組合が判別する仕組みが存在しない
と記載されています。

国土交通省マンション総合調査及び統計・データなどによると、

●増え続けるマンションストック

我が国におけるマンションのストック数は、2022年末時点で約694.3万戸に達し、試算によれば約1,500万人、すなわち1割を超える国民が分譲マンションに居住していると推計されます。

区分所有者の永住意識は年々高まっており、マンション総合調査によれば、1990年代半ばから「永住するつもり」の割合が「いずれは住み替えるつもり」を上回り、直近では過去最高の割合(62.8%)となるなど、マンションに対する住まい方の意識も変化しています。

また、築40年以上を経過した高経年のマンションは2022年末時点で約125.7万戸存在し、10年後には約2.1倍の約260.8万戸、20年後には約3.5倍の約445万戸と急増していくことが見込まれています。

●区分所有者の高齢化・非居住化、管理組合の担い手不足

高経年マンションにおいては区分所有者の高齢化が進むと同時に、空室や賃貸住戸などの非居住化も進んでいます。また、これらの中には所在不明住戸が発生しているマンションも存在する。こうした傾向から、管理組合の役員の担い手不足や総会運営、集会の議決が困難になるといった課題が懸念されています。

また、近年は、管理組合役員の担い手不足等を背景として、マンション管理業者を管理者に選任している事例も増えつつあります。

●修繕積立金の不足

マンションの長寿命化を図るには、適切な長期修繕計画の作成や計画的な修繕積立金の積立が必要となるものの、「現在の修繕積立金の残高が、長期修繕計画の予定積立残高に対して不足していない」と回答したマンションの割合は約3分の1にとどまり、また、約半数の管理組合が長期修繕計画の定期的な見直しを行っていません。

修繕積立金の積立方式としては、近年分譲されるマンションの大半が「段階増額積立方式」を採用しています。

●適切な長寿命化工事、性能工事の実施

修繕工事等の発注者たる管理組合の利益と相反する立場に立つ設計コンサルタントの存在が指摘されており、「耐震改修工事」、「省エネ改修工事」、「バリアフリー化工事」等の性能向上を図る改修の実施率はいずれも低い水準となっています。